表彰の内容

特別賞(SEEPS Distinguished Service Award)本学会に顕著な貢献のあった会員に授与する賞

学術賞(SEEPS Outstanding Publication Award)環境経済・政策分野の優れた研究業績を挙げた者に授与する賞(過去10年間の研究業績を対象(2018年度より))

奨励賞(SEEPS Young Achievement Award)環境経済・政策分野の奨励に値する論文あるいは著書を執筆した、原則として40歳以下の者に授与する賞

論壇賞(SEEPS Commentary Award)一般社会への積極的な問題提起や普及啓発の面で大きな貢献が認められる単行本、小冊子、総合雑誌等における著作に授与する賞(2014年度より)

ベストポスター賞(Best Poster Award)学会大会時でのポスターセッションにおいて最も優れた研究及び発表と評価された者に授与する賞(2014年度より2019年度まで)

ベストSpeed Talk賞(Best Spead Talk Award)学会大会時でのSpeed Talkにおいて最も優れた研究及び発表と評価された者に授与する賞(学生による発表を対象(2020年度より))

※各賞の詳細については、学会賞規約をご確認ください。

受賞者リスト

※所属は受賞当時のもの

2024 / 2023 / 2022 / 2021 / 2020 / 2019 / 2018 / 2017 / 2016 / 2015 / 2014 / 2013 / 2012 / 2011 / 2010 / 2009

2024年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 該当者なし

【奨励賞】

中石知晃(九州大学)他4名
"Quantifying the health benefits of improving environmental efficiency: A case study from coal power plants in China.”, Energy Economics, 2023, Vol.121, 106672.

受賞理由】
本論文は、中国における石炭火力発電所を対象に、SO2、NOx、PM2.5のデータを使い、DEAを用いて、環境効率を推計し、経済学だけでなく、化学輸送モデルを用いるなど分野横断的な知見を活用しており、非常に興味深い分析を行っている。分析の結果、環境効率の改善によって、ベースシナリオでの早期死者数推計が41,178人であるのに対し、排出削減シナリオでは24,768人となることを示し、排出削減によって40%(16,410人)の早期死者数削減に結びつくことを示している。このように、本論文は、排出量削減の費用対効果について政策的議論に有益な情報を提供するものと評価できる。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する

【論壇賞】

朝山慎一郎(国立環境研究所)他29名
"Three institutional pathways to envision the future of the IPCC.”, Nature Climate Change, 2023, Vol.13, 877-880.

受賞理由
本論考は、Nature Climate ChangeにCommentとして掲載されたものであり、国際的な科学的アセスメントである「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次評価報告書(AR6)サイクル後の2023年以降の「道行き(pathway)」について、科学技術社会論や組織論の文脈から考察し、制度改革案を提言したものである。朝山氏を筆頭著者とした多くの同分野の研究者たちのこれまでの研究蓄積を踏まえて、IPCCが第7次評価報告書(AR7)サイクルに入るタイミングで、そのありうる道行きを示している。著者らは、「これまでの成功に立脚」、「視点をより多様化させる」、「変革に向けた主張をしていく」の三つがあり得るとして、その長所・短所とそれらの是非を論じている。気候変動政策だけでなく、他の環境政策にも多大な影響を与えるIPCCそのもののあり方について、科学技術社会論に立脚した論考として意義があり、同時にIPCCの改革を通じて現実社会にも影響と示唆のある論考である。
 気候変動のような地球規模の問題を解決する上では、学術界は、国内の一般市民だけでなく、国際社会の様々な主体にも科学的知見を共有していくことが求められているが、日本では国際社会にインパクトある発信ができる研究者が限られている。そのような中、本論考はNature Climate Changeという世界中のメディアと政策立案者が注目する媒体から、国際社会の様々な主体に向けて積極的に問題提起や普及啓発をしており、論壇賞にふさわしいと判断した。

【ベストSpeed Talk賞】

  • 本田 さはら(京都大学) (他1名)
    太陽光発電施設規制条例の効果に関する実証研究.
  • Sophia Lay(Tohoku University) (他1名)
    The Impact of Air Pollution on Child Growth in Myanmar: Insights from the 2015-2016 DHS and Satellite Data.

2023年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

松本 茂(青山学院大学)

【受賞理由】
松本茂氏は市民生活に起因する環境負荷を分析し、トップジャーナルに単著者、筆頭著者あるいは責任著者として多数の論文を発表してきた。2022年のEnvironmental and Resource Economics誌に掲載された論文では、省エネ効果の高い耐久消費財を購入することが省エネ行動を阻害するものではなく、リバウンド効果は必ずしも発生しないことを実証した。2016年のEnergy Policy誌に掲載された論文は、主婦の所得増に伴うエアコンの利用量低下や、世帯主の所得増に伴う電子レンジ利用量低下など、家族構成や所得とエネルギー消費との関係を定量的に分析し、高い評価を得ている。松本氏が責任著者となって2014年のEnergy Research & Social Science誌に掲載した論文は、個人の属性や意識と原子力発電に対する姿勢との関係を意識調査結果から実証した画期的な成果であり、国民の意識構造を理解する手がかりとなる。松本氏が責任著者となって2017年のWaste Management誌に発表した論文では、市町村の廃棄物処理データを用いることで、多段階のごみ処理過程で発生する費用がそれぞれ検証された。ごみの分別とリサイクルの実施が処理費用にどのように影響を及ぼすかは、市町村にとっての関心事項であり、政策面に貢献できる研究成果である。2020年のEcological Economics誌に掲載された論文では、個人の廃棄物管理能力が何に影響されるかについて分析が行われた。その結果、イデオロギーや信頼性は個人の廃棄物管理能力に影響を与えないという結論が得られ、米国とは異なる日本の傾向が明らかになった。このように、松本氏は社会的関心が高い問題について精力的に実証データを分析し、信頼性の高い結論を導き出している。松本氏の研究業績は学術面及び環境政策面の両者における顕著な功績であると認められ、本会「学術賞」に値するものと判断する。

【奨励賞】

阿部景太(武蔵大学)他1名
"A dynamic model of endogenous fishing duration.", Journal of the Association of Environmental and Resource Economists, 2022, Vol.9(3), pp.425-454.

【受賞理由】
気仙沼港漁業者の航海日誌データから、「漁を続けることによる期待利得」と「すでに漁獲した魚の品質劣化による損失」とのトレードオフ関係から航海期間を決定する動的離散選択モデルを構築し、漁獲量が最大になる前に漁獲物が古くならないように漁を終了させる行動がある事を実証している。また、航海期間の内生的な決定プロセスが考慮されない場合、生産性フロンティアや技術効率性の推定にバイアスが生じる事を、シミュレーション結果から明らかにしている。条件付選択関数には機械学習Lasso logitモデルを用い、状態遷移関数ではマルコフ過程で複数期間の漁獲量などの結果が考慮に入れられている。漁の継続と帰港の決定という行動メカニズムを、漁業者の主観的な品質評価の推定から明らかにしている。このように、理論モデルと構造推定プロセスの設計に多くの工夫がなされ、貴重なデータを用いた精緻な分析から、クリアで重要な結果を導き出している。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

David Wolf (Kobe University) (他1名)
“Holding back the storm: Dam capitalization in residential and commercial property values.”, Journal of Environmental Economics and Management , 2022, Vol.116, 102732.

【受賞理由】

本論文は、ヘドニックアプローチを用いて、上流でのダム建設の洪水リスク削減の便益を分析したものである。洪水や浸水リスクの評価に関する先行研究は多くあるが、これらは、ハザードマップを用いたり、沿岸での防災対策の効果を測るものである。しかし、防災効果が表れる地点の数キロ上流に建設されるダムがもたらす便益を対象とする研究事例がなく、本論文が最初の研究である。ダムは上流に位置するために下流の住民はその便益を認知しない可能性があるが、徹底的な頑健性の検定を行うことで、住民が便益を認知していることを明らかにしており、非常にレベルの高い分析を行っており、優れた論文である。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

居乂義(早稲田大学)(他4名)
“Job creation in response to Japan’s energy transition towards deep mitigation: An extension of partial equilibrium integrated assessment models.”, Applied Energy, 2022, Vol.318, 119178.

【受賞理由】

化石燃料から再生可能エネルギーへのエネルギー転換は、2050年のカーボンニュートラルに貢献する一方で、国内の雇用にも大きな影響を及ぼす可能性がある。本論文は、発電に関する部分均衡統合評価モデルと産業連関表を接続することにより、将来想定されるいくつかの脱炭素化シナリオを前提に、エネルギー転換の雇用への影響を明らかにしようとするものである。分析の結果、再生可能エネルギー関連の製造・建設による雇用創出効果が、工業、火力発電建設や火力発電部門における雇用減少を上回るために、雇用創出に寄与する可能性があることを明らかにしている。一方、2050年には、非電力・製造部門の雇用の30%以上が海外に誘発される可能性があることを指摘しており、将来の環境政策を検討するうえで、重要な視点を提供している。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

矢島猶雅(成城大学)(他1名)
“Promoting energy efficiency in Japanese manufacturing industry through energy audits: Role of information provision, disclosure, target setting, inspection, reward, and organizational structure.”, Energy Economics, 2022, Vol.114, 106253.

【受賞理由】

本論文は、都道府県が実施するエネルギー監査及び関連する政策が二酸化炭素の排出量削減に貢献するかどうかを、自治体レベルのパネルデータを用い、Difference in differenceによって検証した。その結果、表彰、情報提供、目標設定といった追加的な政策を実施することで、エネルギー監査による二酸化炭素の排出削減効果がさらに高まることが示された。本論文の貢献は以下の点が挙げられる。第一に、エネルギー監査は自主的取組であり効果が定かで無いと懸念されることがあるが、追加的政策と組み合わせることで、有効性が高まることが示された点である。第二に大規模なデータベースを構築し、因果推論の手法を応用して丁寧な分析を試みている点である。従って、本論文は経済学における貢献のみならず、政策インプリケーションの観点からも貢献が大きい。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

山﨑晃生(政策研究大学院大学)
“Environmental taxes and productivity: Lessons from Canadian manufacturing.”, Journal of Public Economics, 2022, Vol.205, 104560.

【受賞理由】

本論文は、炭素税の導入が製造業工場の生産性に及ぼす影響を理論と実証の両面から検証し、環境経済学を含む公共経済学分野において最も評価の高いJournal of Public Economics誌に掲載された論文である。カナダ・ブリティッシュコロンビア州の政策(炭素税の課税と法人税減税を同時に行う政策)の効果を分析するにあたり、実証可能な理論モデルを構築し、そこから導き出されたいくつかの仮説を製造業の工場レベルのデータを用いることで検証しており、大変に説得力のある政策評価・政策提言を行っている。本論文では、理論分析と実証分析の二つが極めて洗練された方法で遂行されており、しかもそれが単著論文であるという点は学術的に高く評価される。以上の評価から、本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストSpeed Talk賞】

  • 志賀 智寛(東京大学) (他2名)
    未利用魚・低利用魚問題に関する整理と考察.

2022年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

梶原健嗣(愛国学園大学)

【受賞理由】

 梶原氏の業績全体を貫く特長は,次の3点である。

 第1に,行政(開発主体)の内在的・批判的分析である。すなわち,近年の環境史研究は,開発に反対する側の思想や運動を中心に分析してきた。むろんこれらの研究は多くの成果を生んでいるが,開発主体の動向を一面的に描く事態も散見されており,これが議論の説得力を弱めている。一方で,土木史研究では開発主体の主張が詳細に紹介されることはあっても,その批判的分析は不充分なことが多い。これらに対して梶原氏は,計画の立案過程にまで遡って開発主体の論理を解明することによって,開発を説得的に批判することに成功した。とくに『戦後河川行政とダム開発――利根川水系における治水・利水の構造転換』(ミネルヴァ書房,2014年)において,利根川の治水・利水計画が,いずれも不確かな論理によって進められてきたものであり,現在もその状況が変わっていないことを1次資料に遡りつつ解明した部分は,鮮やかかつスリリングである。

 第2に,開発の変遷をその社会的背景と関連付けて描くことにも成功している。すなわち梶原氏の研究は,河川行政を深く掘り下げると同時に,それが他の外的要因からも影響を受けつつ展開されてきたことを見逃さない。明治期の鉄道敷設,両大戦間期の総力戦体制・技術者運動・都市間競争,1950年代の火力発電開発などである。梶原氏は,これらの指摘を実証分析の随所で活かす同時に,『近現代日本の河川行政――政策・法令の展開:1868−2019』(法律文化社,2021年)を,隣接諸分野の読者にも読み応えのある通史とすることに成功した。このなかで示した時期区分や構造変化要因のモデルも,社会的背景を踏まえたものであり,隣接諸分野に開かれた議論になっている。

 第3に,説得力のある対案の提示である。梶原氏は一連の業績を通じて,多目的ダム開発の見直し,「減災」の観点を盛り込んだ治水への転換とフロンティア堤防の採用,水道事業における責任水量制の見直しなどを提言している。これらの提言は,開発主体の内在的・批判的分析や社会全般との関連を見据えた歴史分析という,上述の特長に根差して行なわれているだけに,説得力は高い。

 なお,これらの特長は,自然保護や生態系保全といった狭義の「環境」に関する論点の追究にも資するものである。周知のように,気候変動を背景とする近年の豪雨災害を背景として,「環境よりも治水を」の声は大きくなってきた。そして,こうした世論やマスメディアを背景として,ダム建設の復活もなされようとしている。これに対して梶原氏は,現行の治水方式は環境負荷的であるのみならず,「生命損害の回避」という治水本来の目的にも反することを,既に明らかにしている。梶原氏の研究は,「環境も,治水も」の方向性を日本が追究しうることを,説得的に提示したと評価できる。

 梶原氏の研究は,河川行政にとどまらず,環境政策の他の研究対象にも刺激をあたえる成果であり,その分析手法は幅広く応用可能である。さらに,梶原氏の研究は学会の枠を超えて注目されうる。たとえば,歴史学にも一石を投じるものである。すなわち,ポストモダンの影響を受けた1980年代以降,歴史学では実態よりも言説を重視する分析が世界的に台頭した。この言語論的転回は多くの成果を生み出したものの,歴史学と社会科学との距離拡大や,歴史学の政策提案能力の低下をもたらした。歴史分析を法学,経済学,工学などと幅広く結合させた梶原氏の業績は,歴史学が社会科学や政策提案に果たしうる役割を改めて示したといえる。

 以上より,梶原健嗣氏を環境経済・政策学会の学術賞の受賞者としてふさわしいと判断した。

小西祥文(慶応義塾大学)

【受賞理由】

 小西氏は、Journal of the Association of Environmental and Resource EconomistsやJournal of Environmental Economics and Managementといった評価の高い学術誌に環境政策に関する論文を掲載している。

 Journal of Environmental Economics and Managementに掲載された“Do regulatory loopholes distort technical change? Evidence from new vehicle launches under the Japanese fuel economy regulation” は、日本の自動車の燃費規制が重量を考慮して制定されている点が燃費に関する技術進歩に歪みを発生させていることを、理論モデルを提示したうえで実証分析を行うことで明らかにしている。精緻な実証分析を行うことで、規制によって意図せず発生する歪みを把握することに成功している。

 Journal of the Association of Environmental and Resource Economistsに掲載された “Can green car taxes restore efficiency? Evidence from the Japanese new car market”は、エコカー減税及び補助金が、燃費や経済厚生に与えた影響を明らかにしている。消費者と生産者の行動を踏まえた構造推定を行い、因果関係を考察するための操作変数は先行研究とは異なるものを工夫することで、より信頼性の高い結果を導出している。

 Journal of the Association of Environmental and Resource Economistsに掲載された “Emissions trading, firm heterogeneity, and intra-industry reallocations in the long run”は、排出量取引において異質な企業が参入退出を行う場合に初期配分の方法が異なると、長期的な均衡にどのような影響があるか、理論モデルにより明らかにしている。環境政策に対するインプリケーションの点において意義の大きな研究である。

 小西氏は質の高い理論分析及び実証分析に基づき、環境政策へのインプリケーションの大きな研究を着実に積み重ねてきた。以上より、小西氏の研究業績は環境経済・政策学会の学術賞の授与にふさわしいと判断した。

【奨励賞】

Mriduchhanda Chattopadhyay(University of Petroleum and Energy Studies)他4名
"Subjective probabilistic expectations, household air pollution, and health: Evidence from cooking fuel use patterns in West Bengal, India.", Resource and Energy Economics, 66, 101262, 2021.

【受賞理由】

In developing countries, health risk from household air pollution associated with dirty cooking fuel usage is a serious problem. Eliciting survey respondents’ subjective probabilistic expectations about health risk from dirty cooking fuel, this paper empirically analyzed how cooking fuel choices are affected by their health risk expectations. Primary data were collected from 557 households in rural Indian villages over a two-year period. The authors found that individuals with higher health risk expectations from dirty fuel were likely to lower dirty fuel usage. Also, their current dirty fuel usage and self-reported health status of being sick were significantly correlated. Furthermore, the authors undertook a policy simulation of new information provision to individuals regarding health risk of dirty fuel usage. Although such information provision did lower dirty fuel usage, the magnitude of usage change was small in size. This implies a supply side problem that improving accessibility to clean fuel is more important. Using unique original data and appropriate econometric methodology, this paper provides useful findings. The committee concluded that this study is suitable for Young Achievement Award of the Society of Environmental Economics and Policy Studies.

定行泰甫(成城大学)他1名
“Do regional emission trading schemes lead to carbon leakage within firms? Evidence from Japan.”, Energy Economics , 104, 105664, 2021.

【受賞理由】

 本論文は、東京都と埼玉県の排出量取引制度導入が他地域へのカーボンリーケージを生じさせるかを事業所データを用いて計量経済分析を行ったものである。制度が導入されていない地域へ事業活動がシフトすることが懸念されるが、分析の結果からは、上記制度の対象地域に事業所を保有する企業は、対象地域内の事業所だけでなく、対象外の地域の事業所の温室効果ガス排出量を減少させていることを明らかとしている。全国一律の排出量取引制度が導入できなくても、特定の地域に制度を導入することで、間接的に他地域の環境取組を促進できることを示唆するものである。このように学術的にも実政策的にも有用な知見を提示する優れた論文であることから、本論文は奨励賞にふさわしい。

吉田 惇(九州大学)他1名
“Land use policies considering a natural ecosystem.”, Regional Science and Urban Economics , 83, 103552, 2020.

【受賞理由】

 本研究は、野生生物と人間社会とのコンフリクトを扱った独創的な研究である。本研究は、空間的な理論モデルを用いて、人間と野生動植物が隣接して共存する環境における最適な土地利用政策について分析している。本研究では、野生生物として、植物、草食動物、肉食動物を考慮し、 居住エリアに侵入した肉食動物の駆除、植生密度、都市境界の設定という土地利用政策を分析し、駆除の性質、植生密度の空間的分布、最適な都市サイズを導出している。

 生態経済モデルに空間的な次元を導入するというアイディアは、経済をより現実に近い形で描写できるという点だけでなく、より多様な政策オプションの検討を可能にするという点で優れている。これにより人間と野生動物、植物および野生動物間の相互作用を明示的に分析することが可能となっている。本研究は、野生生物との共存を考える上で重要な社会問題となっている負の生態系サービスの問題に対する経済学的な解決策につながる可能性を持つもので、今後の発展が期待される。以上より、本論文は奨励賞にふさわしい。

若松美保子(東京海洋大学)他2名
“Revenue sharing and social capital in community-based resource management: Empirical evidence from Japanese surf-clam fisheries.”, Land Economics , 97(2), pp.455-474, 2021.

【受賞理由】

 日本の沿岸漁業の共同管理制については、生態人類学をはじめとするコモンズ論において、早い段階から注目されてきた。しかし、その定量評価を試みた論文は少ない。同論文は、北海道におけるホッキガイ漁業を事例として、漁獲収入のプール制(revenue sharing)が、水産資源の利用と保全に果たす役割を実証的に分析したものである。

 研究の新規性はもとより、現場での丁寧な聞き取り調査やデータ収集、さらには現場の関係漁業者の参加した経済実験を行うことにより、協調行動の程度に関する変数を導出する分析力が高い評価を受けた。以上より、本論文は奨励賞にふさわしい。

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストSpeed Talk賞】

  • Yi-Chun Ko(Tohoku University)他2名
    Adaptation capacity to the effects of extreme temperatures on crop yields: Evidence from corn production in US

2021年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

樽井礼(ハワイ大学マノア校)

【受賞理由】

樽井氏は、さまざまな国際的に評価が高い学術誌に研究業績を公刊している。European Economic Review誌掲載の “Cooperation on climate-change mitigation”は、気候変動に関する国際環境協定において、協力解経路を非協力ゲームによっていかに実現するか(フォーク定理)をダイナミックゲームの枠組みで理論分析を行っている。割引率および地球温暖化対策の費用便益関数が国際協調に及ぼす影響を明示し、早急に大幅な温室効果ガスの削減が必要とされるケースにおいて、国際協調が均衡として支持されにくい点を指摘した創造性に富んだ論文である。

 Journal of the Association of Environmental and Resource Economists誌掲載の “Intergenerational Games with Dynamic Externalities and Climate Change Experiments” では、気候変動問題に代表される世代間にわたる公共財供給に関する実験室経済実験を行っている。世代内と世代間の2つの戦略的不確実性に起因する協調の失敗を扱っている。将来世代の行動に関する戦略的不確実性が現在世代の行動に及ぼす影響を調査分析したことは、重要かつ独創的な貢献と考えられる。

 Journal of the Association of Environmental and Resource Economists誌掲載の“Emissions Trading, Firm Heterogeneity, and Intra-industry Reallocations in the Long Run”では、汚染産業内での企業の技術異質性と産業への参入退出を考慮し、汚染許可証制度が産業規模(企業数)、企業分布、社会厚生に及ぼす影響を明らかにしている。現実に対応する汚染許可証制度として、オークションと2つのグランドファザリング(米国酸性雨計画とEUETSタイプ)そして、米国Waxman-Markey 法案で提案された産出規模に応じた分配にもとづき、効果にどのような差異があるかを示す政策的適用性の高い研究である。

 Energy Economics 誌掲載の“Why does real-time information reduce energy consumption?”は、ハワイに居住する家計を対象とした節電実験のデータを用いて、情報提供の効果を検証した実証研究である。情報提供による学習効果が顕示性の効果を上回る点を明らかにし、節電情報の提供の効果を議論する上で重要なエビデンスを提供している。

 Environmental Economics and Policy Studies誌掲載の“Electric utility regulation under enhanced renewable energy integration and distributed generation,” はアメリカの電力政策に関する既存研究のサーベイ論文で、具体的な事例をもとに再生可能エネルギーが普及する中で望ましい電力規制の在り方を示唆した。今後の我が国における電力規制を検討するうえで大変興味深い内容が議論されている。

 本審査報告書において取り上げた樽井 礼(たるい のり)氏の業績は、トップジャーナルに掲載された論文によって構成されており、そのいずれもが環境経済学及び経済学全般の発展に多大な貢献を果たしている。また、テーマも環境に関する広範に重要課題にわたり、一方、手法も、一般均衡論、ゲーム理論、そして実験経済学に及び、それぞれの分野の発展に貢献している。このような樽井氏の実力とその研究業績は、学術賞に資するものであると高く評価する。

【奨励賞】

⾦慧隣(北海道大学)他4名
"Understanding services from ecosystem and facilities provided by urban green spaces: A use of partial profile choice experiment", Forest Policy and Economics, 111, 102086 2020.

【受賞理由】

高齢化や自然災害の影響などにより,日本では近年,都市緑地に期待されているサービスや施設の内容が変化してきている。本論文は,選択実験により,札幌市の都市緑地が提供しうる生態系サービスと施設サービスの経済評価を行なっている。一般市民を対象としたウェブ調査を実施し,生物多様性保全,景観形成,森林とのふれあい,避難場所などのサービスが高く評価されていることが示されているが,これらの調査結果は,札幌市民が都市緑地に対して,施設サービスの機能よりも生態系サービスの機能をより強く求めていることを示唆している.また,分析には部分プロファイル型選択型実験(PPCE)による選択実験が利用されているが,環境分野では同手法を利用した調査はまだ実施されていない。今後,環境経済政策の分野でもPPCEを使ったコンジョイント分析が多く行われていく可能性を見込んだ先見性のある研究内容であるとも思われる。以上のように,本論文ではユニークな研究手法を利用して,示唆に富む知見が提供されており,奨励賞にふさわしいと判断した。

豆野皓太(北海道大学)他1名
“Tourist intentions to donate to non-lethal feral cat management at a potential natural World Heritage site in Japan”, Human Dimensions of Wildlife , 26(2), pp. 99-114, 2021.

【受賞理由】

本研究は,世界自然遺産に登録された奄美大島の生物多様性を保全する上で,野生ネコの非致死的な管理施策に対する観光客の募金支払い意志額を仮想評価法によって分析している。8割以上の観光客が募金の意志を示し,一人あたりの平均支払意志額は1,341円であった。また,Tobit Modelを用いた分析から,回答者の収入や致死的な管理オプションに対する態度,そして奄美大島の自然環境に対する価値観などが寄付金額に影響を与えることを明らかにした。非致死的な野生ネコ管理施策は殺処分よりもコスト高となるが,殺処分には多くの住民が反対している。本研究は,生態系保全や生物保護の観点から,非致死的な管理施策が実行されるためのアカウンタビリティとして,一つのエビデンスを提供するものである。奄美大島における野生ネコ管理が重要な政策課題である中,統計的手法を用いてこの問題に対する観光客の意識を明らかにしており,非常に意欲的かつ迫力を持つ論文である。以上の評価から,本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

【論壇賞】

Carbon Pricing in Japan (Springer 2020, Editors: Toshi H. Arimura and Shigeru Matsumoto)

【受賞理由】

本書は,日本のカーボンプライシング政策に関する初めての包括的な研究書であり,これまでに導入された政策に関する効果分析や,全国レベルでの炭素税および排出量取引制度といった目下検討中の政策に関するシミュレーション分析などで構成されている。カーボンプライシングが日本の政策論議で再び脚光を浴びているこのタイミングで,本書が実証研究を通じてその政策的含意を明らかにし,様々な課題を克服しながら効果的に活用する方途を示した点は高く評価される。

 本書の成果のひとつは,諸外国に比べて研究が遅れていた,日本の気候変動防止政策の効果に関する実証分析をおこなったことにある。そして,いまひとつの点は,研究成果を英語で発信をしたことにあり,その結果,日本でのカーボンプライシングをめぐる議論が,今後,国際的な政策論議に統合される道を拓いている。

 さまざまな読者にとって,本書は価値あるものとなっている。まず,環境経済学や環境政策に携わる研究者にとって有益である。また,特に費用対効果の高い手段を模索する国や地域の政府関係者や政策立案者にも重要な知見を提供する。さらに,気候変動問題やその解決策に興味を持つ一般市民のニーズも満たす啓発の書としての側面も有し,カーボンプライシングの重要性を社会に向けて提起している。

 今後,本書は日本のカーボンプライシングに関心を持つ人びとに参照される基本文献となりうる。オープンソースとして公表されて以来の約1年間でのダウンロード数が2万回を超えていることは,その証左であろう。

 以上の評価から,本書は論壇賞にふさわしいと判断した。

【ベストSpeed Talk賞】

  • 京井尋佑(京都大学)
    土地利用シナリオの選好分布に対する空間計量経済分析ー石川県における選択型実験の実証研究ー

2020年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

赤尾健一(早稲田大学)

【受賞理由】

赤尾氏の研究は、Journal of Economic Dynamics and Control, Journal of Mathematical Economics, Environmental and Resource Economics, International Journal of Economic Theory など、国際的に評価が高い学術誌に掲載された経済動学理論研究を主としている。Journal of Economic Dynamics and Control 誌掲載の A theory of disasters and long-run growthでは、自然災害が⻑期経済成⻑に与える正負の影響について仮定の少ない動学的最適化問題を応用し理論的説明を提供している。とくに、災害の事後的な経済被害と事前的な災害リスクの高さを理論的に区別した上での分析は、一見して相反するような実証分析結果をうまく説明することに成功している。

Journal of Mathematical Economics 誌掲載の “Monotonicity and continuity of the critical capital stock in the Dechert‒ Nishimura model”では、低所得国と高所得国において経済成⻑率に格差があり、その差がなかなか縮小ないのはなぜかについて、典型的な経済成⻑モデルは貧困の罠を説明できないが、拡張された動学的経済成⻑モデルは貧困の罠が均衡解の帰結として可能であることを示したすぐれた研究である。この論文では、とくに境界資本ストックが時間割引因子の減少関数であることを示し、パラメータのわずかな変化が経済に大きな影響を与える可能性を指摘している。同様の指摘は異なるモデルでなされているが、Dechert-Nishimuraモデルでは初めての指摘である。

Environmental and Resource Economics 誌掲載の”A Tradable Permit System in an Intertemporal Economy”では、異時点間の競争市場では、排出権取引制度によって外部性の内部化を達成するためには、 政府は排出権の発行量を決めるだけでなく、permit interest rateを適切に設定する必要があることがこれまでの研究で知られている。しかしこのことは、政府が効率的な排出権価格を知っていなければならないことを意味し、制度設計上の大きな足かせとなっていた。研究では一般均衡モデルを使って、適切なpermit interest rate を設定するための簡単なルールを提供している。

International Journal of Economic Theory 誌掲載の”Some rationalizability results for dynamic games”は、動学ゲームにおける均衡は動学的最適化問題の解として複製されるかといういわゆる合理化性問題を動学的フレームワークで分析している。技術と選好を両フレームワークで同じとして、動学ゲームのプレイヤーよりも高い割引率を用いることで、動学ゲームの均衡が動学的最適化問題の解として表すことができることが示した。これにより動学最適化問題の知見を、共有資源管理や漁業権問題などの動学ゲームに応用することが可能となる。扱いの難しい動学ゲームを効率的に分析するための基礎を与える優れた研究と言える。

以上、赤尾氏の研究は一貫して経済動学理論研究分野で行われている。経済動学理論は、理論についての深い洞察と鍛錬が要求される分野であり、その中で、厳密な理論を環境問題を始めとした経済問題に応用している赤尾氏の実力とその研究業績は、十分に学術賞に資するものであると高く評価する。

金子慎治(広島大学)

【受賞理由】

金子慎治氏は、環境経済学・開発経済学・公共経済学・計量経済学の手法を用いた理論分析・実証分析によって、途上国が直面する資源、環境、エネルギー問題を中心に環境研究に取り組んできた。とりわけ、都市化とエネルギー消費及び温室効果ガス排出量の関係性については、過去 30 年程度の 99 か国のデータを用いて実証分析を行い、都市化は国の所得水準ごとに異なる影響をもたらすことを初めて示し、世界各地の都市化政策への大きな示唆を得た。また、途上国の貧しい非電化地域における太陽光発電システムの導入については、様々な生活上の便益を明らかにするだけでなく、マイクロファイナンスや将来の見通しが複合的に発電システムの導入を進展させたことを示し、公的資金による支援がなくとも電化が進展する可能性を示した。加えて、これらの研究を含む金子慎治氏の研究論文は、多くの引用がされており、世界各国の研究者に多大な影響を与えてきた。

このように、環境経済・政策分野の優れた研究業績を挙げてきたことから、金子慎治氏を2020年度の学術賞にふさわしい研究者と判断した。

竹内憲司(神戸大学)

【受賞理由】

竹内氏は,環境経済学におけるミクロ実証分析の分野で大きな貢献をしてきた。幅広いテーマを扱い,政策的インプリケーションに富む研究成果を,国際的に著名なジャーナルに多数公刊している。

社会実験アプローチを用いた省エネ行動の研究(Mizobuchi and Takeuchi, 2013)では,節電行動を促進するには,金銭的インセンティブだけでなく,環境意識を高める方策を同時に実施することが政策の有効性を高めることを明らかにしている。また,ごみ収集有料化の効果を検証した研究(Usui and Takeuchi, 2014)では,ごみ削減やリサイクル促進を長期的に継続させるには,どのような政策が効果的であるのかを明らかにした。Tembata and Takeuchi (2018)では,水資源利用について,どのような要因が渇水時の取水制限に関する集団的意思決定に影響しているのかを明らかにしている。 一方,ガーナの家庭における燃料消費の研究(Adusah-Poku and Takeuchi, 2019)では,LPガスや木炭等の燃料種類の選択に関する意思決定と,燃料の消費量に関する意思決定プロセスが異なるダブルハードル(double-hurdle)モデルを用いた分析の結果,それぞれの決定に対する影響要因が異なることを実証している。これは,クリーンな燃料選択を推進するだけでは環境低負荷の燃料使用量が増加せず,燃料選択と使用量のそれぞれに対して個別の政策が必要であることを明らかにしている。さらに,Du and Takeuchi (2019)では,傾向スコアマッチング分析手法を用い,バイオマスと風力発電CDMが中国の農村部における所得上昇に貢献することを明らかにし,気候変動緩和への投資が貧困問題や持続可能な開発に寄与したことのエビデンスを提供している。

以上のように,竹内氏は,日本の省エネ行動,水資源管理,廃棄物問題などの幅広い分野で研究を行っている。さらに,日本に留まらず,中国のCDMと貧困問題,ガーナの燃料消費問題など,グローバルに各地域の環境問題に取り組んでいることは評価に値する。多様な計量経済分析アプローチを適切に用いて,環境経済学のフロンティアの開拓に貢献している。また,多くの論文が大学院生や元指導学生との共著であり,竹内氏が共著論文の執筆を通じて,大学院生や若手研究者の教育・育成に大きな貢献をしてきたと言える。よって,竹内氏の業績は「学術賞」授与にふさわしいと判断する。

【奨励賞】

石村雄一(近畿大学)他1名
"The spatial concentration of waste landfill sites in Japan", Resource and Energy Economics, 58, pp.101-121, 2019.

【受賞理由】

本論文は、日本の民間の産業廃棄物最終処分場の空間的配置に焦点をあて、その立地決定要因について空間的な計量経済分析を行ったものである。20年以上のデータを独自に収集し、経済的要因が処分場の地理的集積をもたらしていること、さらにその要因が処分場数の大幅な減少を伴っても継続していることを示すとともに、産廃税や搬入規制の導入が新規立地を減少させる傾向を定量的に明らかにしている。迷惑施設の立地という重要なトピックにおいて、政治的影響が大きい公共の施設ではなく経済的に合理的な立地選定を行うであろう民間の施設に着目した点、人口密度が高い日本を対象にした点、長期の頑健性を確認した点などの工夫が、本分野における国際的な知見蓄積に重要な貢献をしたことにつながっている。このように学術的に優れた論文であることから、本論文は奨励賞にふさわしい。

Ngawang Dendup(早稲田大学)他1名
“Information leverage: The adoption of clean cooking fuel in Bhutan”, Energy Policy , 125, pp. 181-195, 2019.

【受賞理由】

Indoor air pollution is a serious pollution problem among households in developing countries. This paper analyzed microdata of 4349 households from Bhutan Living Standard Survey to examine whether households began using clean cooking fuel by using knowledge obtained from television. Since television possession can be endogenous, the authors estimated a bivariate probit model that used the availability of cable television service in the housing location as an instrumental variable. The empirical results reveal that TV possession increases the use rate of clean cooking fuel by 39% but reduces the use rate of firewood by 49%. The author studies an important problem and published the work in a good journal. The committee considered that this study is suitable for the encouragement award for the Society of Environmental Economics and Policy Studies.

杜依濛(京都大学)他1名
“Can climate mitigation help the poor? Measuring impacts of the CDM in rural China”, Journal of Environmental Economics and Management , 95, pp.178-197, 2019.

【受賞理由】

本研究は,中国の農村部において,再生可能エネルギー発電を対象としたクリーン開発メカニズム(CDM)の影響を,所得の増加,雇用創出,そして産業構造の変化の観点から分析している。1,955農村地域からの10年間にわたるパネルデータを用い,CDM実施地図とGISを使って農村場所を特定し,統計データと関連付けるなど,非常に詳細かつ丁寧に分析データが構築されている。傾向スコアマッチングと差分の差分アプローチを組み合わせた計量経済分析の結果,バイオマスエネルギーと風力を対象としたCDMが有意な水準で所得や雇用にプラスの影響を及ぼし,気候変動問題と貧困の減少の両方に貢献するとしている。一方,火力発電を対象とした分析ではそうした効果が見られないことも示しており,気候変動緩和策とSDGs(特に貧困をなくすという目標1)の両立を目指すために必要な取り組みについて示唆した内容となっている。このような分析は,他の地域や取り組みにおいても有効であり,今後のさらなる広がりが期待できる。以上の評価から,本論文は「奨励賞」に値する研究であると判断する。

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストSpeed Talk賞】

  • 嶌田栄樹(京都大学)
    Do monetary rewards for spatial coordination enhance participation in a forest incentive program?

2019年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

亀山康子(国立環境研究所)

【受賞理由】

亀山康子氏は、地球環境問題への関心が集まり始めた1990年代はじめから、長年にわたり、地球環境問題、中でも気候変動問題に関連して、優れた研究業績を積み重ねてきた日本の代表的な研究者の一人である。

最近の業績を見ても、言説分析手法(discourse analysis)を用いた2018年のEnergy Policy掲載の論文("Why go green?: Discourse analysis of motivations for Thailand's oil and gas companies to invest in renewable energy")や、各国の気候変動対策の進捗評価の手法・方法論を分析した2018年のClimate Policy掲載の論文("Four intermediate goals: a methodology for evaluation of climate mitigation packages)など、国際政治学を専門としつつも、政策動向と政策ニーズを踏まえた、多様な方法論により、政策「学」への学術的貢献とともに政策形成への重要なインプットとなる研究成果をあげている。特に、2017年にRoutledgeから刊行された「Climate Change Policy in Japan: From the 1980s to 2015」は、ここ30年余にわたる日本の気候変動政策の決定過程を4つの時期区分にわけて分析し、COP3(京都会議)が開催された1997年を軸とした第2期(1995年-2002年)において、京都会議を契機に、気候変動問題が政治アジェンダとして高い位置を占めるようになるなど、日本の気候変動政策が大きく転換したこと、しかし、その後、京都会議の成果が産業界、政府の一部からは外的圧力として受け止められ、低炭素型経済に向かう政策形成の契機を内在化することができないまま、気候変動政策が、政治アジェンダとして相対的に劣後し、従来型の経済成長政策とエネルギー政策の従属変数となってしまっていると分析した。日本の気候変動政策の決定過程を歴史的分析と国際比較によってその特質を明らかにしたこの著作は、日本の環境政策学へのきわめて重要な貢献となる業績である。

以上の理由から、亀山康子氏は、2019年度の学術賞を授与するにふさわしいと判断した。

【奨励賞】

大野智彦(金沢大学)
「環境政策統合の政策過程分析:1997年河川法改正を事例として」,『環境経済・政策研究』,11(1), pp.1-15, 2018.

【受賞理由】

本論文は、従来の河川行政の政策目標としての「治水」「利水」に加えて新たに「環境」を掲げたという点で環境政策統合が図られたといえる1997年の河川法改正の政策過程を分析したものである。具体的には、治水、利水を目的とし、多目的ダム建設を希求する河川行政の「政策パラダイム」に対して、1990年代の環境破壊・公共事業批判を背景として環境保護団体などによって支持された「自然保護アイディア」と、建設省内部で1960年代から河川環境への配慮が探られてきた「環境整備アイディア」が、どのように影響したのかを考察している。そして、この法改正において河川行政の転換が生じたとする「諸法の環境法化論」などの従来の議論を退け、「環境整備アイディア」が「政策パラダイム」に追加されたにすぎないと結論付けている。

 研究目的に照らして適切な事例選択がなされており、国会等の議事録のみならず、情報公開請求により入手した建設省や環境庁等の「覚書」なども活用し、河川環境をめぐっての各アクターの認識と、議論の収束過程を再現し、既存の「政策パラダイム」に新たなアイディアが部分的に取り入れられていく過程を巧みに論じている。さらに、河川行政に内在する問題点をも明らかにするという意欲的な内容である。したがって、本論文は奨励賞に値すると判断する。今後は、国立公文書館所蔵文書や関係者へのインタビュー等も用いて、ひとつの論文を超えたさらなる大きな成果を生み出すことを期待したい。

久保雄広(国立環境研究所)他3名
“Voluntary Contributions to Hiking Trail Maintenance: Evidence from a Field Experiment in a National Park, Japan”, Ecological Economics, 44, pp.124-128, 2018.

【受賞理由】

本論文は、フィールド実験手法を用いて、北海道大雪山という自然保護地区である公共財の管理に必要な資金を当該地区への訪問者の自発的な寄付によって調達する方法の効果を検証している。従来、仮想的な施策に対する選択実験を行うといった実験手法は広く行われてきたものの期待された成果が観測できるかは不明であった点に果敢に取り組んで、公共経済学の分野で研究が進んできた自発的供給を増加させる策(シードマネー、目標設定)を用いることで寄付金総額が増加するという有用な知見を得ている。加えて、政府資金の初期額に関する情報などの影響といった新規の知見も得ており、近年着目されている生態系サービスへの支払いの学術分野に貢献する内容を有している。このように学術的にも政策的にも優れた論文であることから、本論文は奨励賞にふさわしい。

 なお、自然保全分野では政府資金額が不足することが多いことから、そのような状況下における研究への展開などが期待される。

松本健一(長崎大学)他5名
“Addressing Key Drivers of Regional CO2 Emissions of the Manufacturing Industry in Japan”, The Energy Journal, 44, pp.1275-1303, 2019.

【受賞理由】

本論文は、都道府県別・産業別データを用いて、二酸化炭素(CO2)排出量の変動要因について分析を行っている。CO2の変動要因分析を調べた研究は過去にも数多く存在しているが、日本一国レベルではなく、都道府県レベル、産業レベルで分析している点が本論文の新規性である。論文では非常に詳細な要因分解分析を行い、これまで得られていなかった以下の知見を導出している。(1)全体の傾向としてはエネルギー集約度の変化がCO2排出量変化の中で特に大きい要因になっている。(2)化学と金属の二産業がCO2排出量変化に対して、特に大きな影響力をもつ。(3)県毎にCO2変化の要因は大きく異なる。日本では都道府県レベルでも温室効果ガスの削減目標が設定されているが、本研究はその目標達成のために有益な知見を提供している。以上の理由から、本論文が奨励賞に相応しいと判断した。

 得られた分析結果をどのような形で政策形成に生かしていくかについて、筆者が今後具体的な提案して貰うことに期待を寄せたい。

宮岡暁(立正大学)
“The Signaling Effect of Emission Taxes under International Duopoly”, Environmental and Resource Economics, Online first.

【受賞理由】

本論文は、1990 年代から蓄積されてきた戦略的環境政策の理論研究をさらに発展させたものである。国際複占競争における自国と外国の数量競争を仮定し、生産から汚染が排出されるため政府が環境税を用いるモデルにおいて、企業の限界費⽤に情報の⾮対称性を導⼊し、情報の非対称性が戦略的環境税率にどのような影響を与えるのかを明らかにしている。外国企業はその環境税率をシグナルとして自国企業の生産性を推し量り供給量を調整することで、厳しい環境規制が、自国企業の生産性が高いことを外国企業に伝えるためのツールとなり、第三国市場における外国企業の供給量を減らすこと(またそれによって自国企業の供給量を増やすこと)につながる。このようなシグナリング効果は規制緩和の誘引を相殺し、場合によっては社会厚生を大きく高め得ることが、理論分析によって示されている。

 本論文は、貿易と環境という環境経済学における重要な論点を正面から扱っており、戦略的貿易政策が国際社会で注目を集める中、効果的な環境政策のあり方を議論する上で有益な視点を提供している。分析の内容も非常に示唆に富むもので、完全情報ゲームというこの種の研究で頻繁に用いられる非現実的な仮定に疑いの目を向けることで、国際貿易は必ずしも環境規制の緩和競争をもたらさないという興味深い結果を得ている。これは、現実の貿易・環境政策にも影響を与え得る重要な研究結果として位置づけられる。限界費用が汚染排出とは無関係なものと設定されているなど発展の可能性は存在するが、著者の研究者としての将来性を感じさせる理論分析を行っているものとして、奨励賞を授与するにふさわしい論文として評価する。

山本裕基(長崎大学)他3名
“Forest change and agricultural productivity: Evidence from Indonesia”, World Development, 114, pp.196–207, 2019.

【受賞理由】

本論文はインドネシアを対象とし、3259農家のパネルデータと森林被覆率の衛星データを用いて森林が農業生産性へ与える影響についてパネルデータ分析を行っている。そして森林と農地との生物間相互作用による害虫駆除効果によって、1%の森林減少が3.7%の農業生産性減少につながると推定している。

 本論文は、森林のエコシステムサービスに対する経済的評価および支払いが十分でないこと、森林のプランテーション開発による利益を貧農が享受していないことを指摘しており、分析に至る問題意識と実証分析が労作であることを高く評価したい。ただし、この結果を森林の害虫駆除効果に帰着させる分析については、審査者の評価において他の要因を検討すべきではないかとの指摘もあり、今後フィールドスタディなどを通じて、この点についてさらに分析を進められることを期待したい。

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストポスター賞】

  • 庫川幸秀(金沢星稜大学)
    送電部門における規制効果と再生可能エネルギー政策

2018年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

有村俊秀(早稲田大学)

【受賞理由】

有村俊秀氏は計量経済学の手法と日本のデータを用いて、さまざまな実証分析を行い、それらの成果を質の高い英文誌に多数発表している。ここ10年間に限定すると、環境経営と省エネルギーの2つに区分することができる。環境経営の分野における有村氏の貢献は次の通りである。一つは、わが国の事業所に関する個票データを用いて、企業の自主的な環境対策が環境負荷の削減に及ぼす影響を明らかにした。また、自主的な環境対策をすでに実施した企業が、サプライチェーンを通じて関連企業に同様の環境対策を要求する「スピルオーバー効果」を取り上げ、定量的な分析を展開した。さらに、産業全体における環境対策に焦点を当て、環境負荷の削減効果を検証した。いずれも独創的な着想の下、産業の環境対策について有意義な示唆を提供した。

一方、省エネルギーの研究では、電力会社による省エネルギーの促進プログラム(デマンドサイド・マネジメント)を取り上げ、その効果を検証した。これまでデマンドサイド・マネジメントについては数多くの研究があるが、有村氏の分析は当該分野においてプログラムの費用に関する新たな知見を提供している。また、家計を対象とした省エネルギーの研究に行動経済学的な視点を取り入れ、社会規範が節電に及ぼす影響を分析し、従来、節電行動に多大な影響を与えると評価されてきた社会規範の影響が限定的である点が明らかになった。

以上の研究は、Journal of the Association of Environmental and Resource Economists, Journal of Cleaner Production, Energy Journal, Journal of the Association of Environmental and Resource Economistsに掲載されたことからも明らかなように、国際的に高く評価されている。同時に、これらは、日本の環境政策に関する研究の海外への発信が少ない中で、貴重な成果である。以上より、環境経済・政策分野に多大な貢献を果たしていると評価し、学術賞にふさわしいものと判断する。

栗山浩一(京都大学)

【受賞理由】

栗山氏の研究の中心は、価格の存在しない環境の価値を金銭単位で評価する手法の開発および環境政策への適用可能性の検討である。環境価値の経済評価研究に関しては、日本国内では1990年代より盛んに研究が行われることなったが、栗山氏はその中心的な役割を果たしてきた。とりわけ、自然環境価値の経済評価という点において、多様かつ最先端の研究を精力的に行い、過去10年間の間に著書22冊、論文21編を公刊してきた。それらの中には海外の著名な研究者や国内若手研究者と行った質の高い共同研究が含まれている。

環境評価手法を大きく分けると、アンケート調査に対する支払意志額などの回答数値分析に基づく表明選好法と、実際の行動データ分析に基づく顕示選好法の2つがあるが、多くの研究者は特定の研究手法に特化した研究を行っている。そうした中で栗山氏は多様な手法を利用して研究を進めている。また、単に分析手法を特定の事例に適用するだけに留まらず、これらの手法をさらに改善・発展させて、より頑強な新しい推定方法を提案している点が、栗山氏が環境評価分野の第一人者として評価されるべき点である。

以上の突出した業績を踏まえ、栗山氏が2018年度環境経済・政策学会学会賞の「学術賞」にふさわしい研究者であると審査委員一同判断するに至った。

【奨励賞】

伊藤伸幸(新潟大学)
“Averting behaviors of very small radiation exposure via food consumption after the Fukushima Nuclear Power Station accident”, American Journal of Agricultural Economics, 99, pp.55-72, 2017.

【受賞理由】

本論文は福島原発近辺で生産された食品を買うのを避けることに対する限界支払意思額が時間の経過とともにどう変化するのかをコンジョイント分析を使って明らかにしている。事故発生から三か月後、七か月後、11か月後に実施した選択型実験の結果から、消費者の回避行動は対象になる食品の種類により異なること、リスクを回避するための支払い意思額はリスクの度合いに大きく影響されること、またその影響は時間の経過とともに減衰していくことなどが示された。本論文は消費者の選好における多様性と時間による変化に着目し、細心の推定手法により定量化した点で学術的に優れた論文であり、奨励賞に値すると評価した。

とはいえ本論文ではアンケート調査おいて、食品の放射能の検知について「店頭で自身が行う」という選択肢を設けている。しかし内部被ばくを検知するための食品の放射能検査は消費者自身が店頭で行えるような簡易なものではなく、調査設計においてリサーチ不足な点があったということは申し添えておきたい。

高島伸幸(九州大学)
“The impact of accidental deviation by natural disaster-prone countries on renegotiation-proof climate change agreements”, Environmental Modeling and Assessment, 22, pp.345–361, 2017.

【受賞理由】

本論文は、国際環境協定に関する理論研究である。グローバルにすべての(あるいは多くの)国が加盟するような環境協定ではなく、地域環境協定に焦点を当てている。本論文は、繰り返しゲームを用いて、自然災害によって約束を順守できなかった参加国に対する罰則適応除外のルールを国際環境協定に盛り込むよう提言している。

本論文のモデルは、単一のグローバルな国際環境協定のかわりに、二つの地域協定に分けることを提案したAsheim et al. (2006)の研究を、意図された逸脱と自然災害等で生じる意図せざる逸脱の区別を付け加える形で拡張し、Regional Cooperativeという新たな協定ルールを提言していることである。その結果、Regional Cooperativeでは意図せざる逸脱のケースでのpunishmentにともなう社会的厚生の損失を抑えられていることを示した。このように、本論文では、Asheim et al.(2006)の簡単な拡張ではあるが、結果として大きく異なる協定ルールが提唱されており、興味深い結論を導いているという点で、評価されるべき学術的貢献を持つ。一方、論文で想定している設定や環境協定を現実的に考えると改善されるべき点や疑問がある。たとえば、費用関数が線型に定められているところなど、今後の拡張を期待したい。

このように、いくつかの点でさらなる発展が望まれるものではあるが、論文全体として独創性が認められ、奨励賞にふさわしいと判断する。

鶴見哲也(南山大学)
“Monetary Valuations of Life Conditions in a Consistent Framework: The Life Satisfaction Approach”, Journal of Happiness Studies, 18, pp.1275-1303, 2017. (with Shunsuke Managi)

【受賞理由】

本論文は、インターネット・サーベイで得た日本の個人レベルのデータを使い、主観的な生活満足度の決定要因を分析したものである。分析の対象である決定要因は、OECDが公表している「より良い暮らし指標(Better Life Index、以下BLI)」に基づき選択されている。BLIは数多くの指標から構成されているが、本論文はそれらの要因を包括的に考慮することで既存研究との差別化を図っている。

生活満足度(または主観的幸福度)に関する研究は、一つの要因の影響に焦点を当てたものが多い。まず分析の興味の対象である説明変数が選択されて、その後にコントロール変数が選択されることとなるが、その際、コントロール変数の選択がしばしば問題となる。本論文は、この問題に対して一つの解決策を提示したことで、幸福度に関する社会科学研究において最上位に位置づけられる雑誌(Journal of Happiness Studies)に掲載されている。

環境だけでなく生活に関わる全般的な要因を分析対象としているため環境経済学的な研究という印象は弱く、また環境経済学の分野の計量分析研究としては幾つかの問題を抱えていると思われるものの、新しい研究分野であり、環境経済学においても重要性が高まっていると考えられため、本論文の成果が環境経済・政策学会奨励賞の授賞対象にふさわしいと判断した。

星野匡郎(早稲田大学)
“Economic Valuation of Environmental Quality Using Property Auctions Data: A Structural Estimation Approach”, Land Economics, 92, pp.703-717, 2016. (with Hayato Nakanishi)

【受賞理由】

本論文は、Laffont et al.(Econometrica 1995)によって提示されたFirst‐Price Sealed‐Bid オークションの構造推定法を環境評価の文脈に応用する事で、反実仮想的な環境政策や環境属性の変化に対する経済価値の新しい推定法の可能性を提示している。また、同構造推定法を日本の差押え物件のオークション・データというユニークなデータ・セットに応用し、東京都の新防火規制の価値評価を行っている。

地価データを利用した環境評価に関しては、伝統的なヘドニック法による推定が主流であるが、ヘドニック法は、標本外への外挿や経済構造の変化(従って推定パラメターの変化)を伴うような反実仮想的な政策・変動の経済効果の推定に対しては有効で無いことが良く知られていた。本論文は、同構造推定法を差押え物件オークションに適用し、環境評価の新たな可能性を提示した意欲的な論文である。

これまでの奨励賞受賞論文と比較しても十分に質の高い論文であり、日本における環境経済学の更なる発展に寄与する論文として、奨励賞に値すると判断した。

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストポスター賞】

  • 呂冠宇(早稲田大学)
    Has FDI expanded air pollution in China?

2017年度

【特別賞】

  • 植田和弘(京都大学名誉教授)

【学術賞】

  • 新熊隆嘉(関西大学)
    “Tax Versus Emission Trading Scheme in the Long Run”, Journal of Environmental Economics and Management, Vol.75, pp.12-24, 2016(菅田一氏との共著論文)

【奨励賞】

  • 金森絵里(立命館大学)
    『原子力発電と会計制度』中央経済社、2016年
  • 村上一真(滋賀県立大学)
    『環境配慮行動の意思決定プロセスの分析』中央経済社、2016年
  • 山口臨太郎(九州大学)
    “Measuring Regional Wealth and Assessing Sustainable Development: An Application to a Disaster-Torn Region in Japan” Social Indicators Research, Vol.129, pp.365-389, 2016(佐藤正行氏、植田和弘氏との共著論文)

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストポスター賞】

  • 該当者なし

2016年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 喜多川進(山梨大学)
    『環境政策史論 ドイツ容器包装廃棄物政策の展開』勁草書房、2015年

【奨励賞】

  • 有賀健高(石川県立大学)
    “Testing market integration for Japanese retail seafood markets,” Australian Journal of Agricultural and Resource Economics, 60:212-226, 2015.(Raymond Li氏との共著)
  • 篭橋一輝(南山大学)
    “The Effects of International Trade on Water Use” PLoS ONE, 10(7), 2015.(鶴見哲也氏、馬奈木俊介氏との共著)
  • 杉野誠(山形大学)
    “The Effects of Alternative Carbon Mitigation Policies on Japanese Industries” Energy Policy, 62: 1254-1267, 2013. (有村俊秀氏、Richard D. Morgenstern氏との共著)

【論壇賞】

  • 吉田文和(愛知学院大学)
    『ドイツの挑戦 エネルギー大転換の日独比較』日本評論社、2015年

【ベストポスター賞】

  • 大久保和宣(京都大学)
    「自然災害からの復興の評価 包括的富指標によるアプローチ」

2015年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 宮本憲一(大阪市立大学名誉教授、滋賀大学名誉教授)
    『戦後日本公害史論』岩波書店、2014年
  • 阪本浩章(千葉大学)
    “Dynamic resource management under the risk of regime shifts,” Journal of Environmental Economics and Management, 68(1):1-19, 2014.

【奨励賞】

  • 嶋田大作(福岡女子大学)
    “External impacts on traditional commons and present-day changes: a case study of iriai forests in Yamaguni district, Kyoto, Japan,” International Journal of the Commons, 8(1):207-235, 2014.
  • 藤井秀道(長崎大学)
    “Which Industry is Greener? An Empirical Study of Nine Industries in OECD Countries” Energy Policy, Vol. 57: 381-388, 2013.(Shunsuke Managi氏との共著)
  • 井上恵美子(京都大学)
    “A new insight into environmental innovation: Does the maturity of environmental management systems matter?” Ecological Economics, Vol.94: 156-163, 2013. (Arimura氏, Nakano氏との共著)
  • 三谷羊平(京都大学)
    “Hypothetical Bias Reconsidered: Payment and Provision Uncertainties in a Threshold Provision Mechanism,” Environmental and Resource Economics, Vol. 59: 433-454, 2014. (Nicholas E. Flores氏との共著)

【論壇賞】

  • 該当者なし

【ベストポスター賞】

  • 清水万由子(龍谷大学)・沼田壮人(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)・川勝健志(京都府立大学)
    「都市近郊型里山における人々の関わりと価値評価-長岡京市民アンケートから-」
  • 竹内亮(京都大学)
    「ベトナム農村部における家庭でのエネルギー利用の変化-フート省ティエンキエン村での調査-」
  • 増田明之・高橋裕也・村上進亮(東京大学)
    「消費者への情報提供による家電リサイクルにおけるデポジット制度導入の可能性」

2014年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 該当者なし

【奨励賞】

  • 岡川梓(国立環境研究所)
    「ヘドニック・アプローチによる東京都区部の洪水被害額の計測ー浸水リスク変数の内生性を考慮した分析ー」『環境経済・政策研究』5(2), 58-71,2012年.(日引聡・小嶋秀人との共著)
  • 徳永昌弘(関西大学)
    『20世紀ロシアの開発と環境ー「バイカル問題」の政治経済学的分析ー』北海道大学出版会,2013年.
  • 堀江哲也(長崎大学)
    “Optimal strategies for the surveillance and control of forest pathogens: A case study with oak wilt,” Ecological Economics, 86: 78-85, 2013. (Tetsuya Horie, Robert G. Haight, et al.)
  • 横尾英史(東京大学)
    “Global Reuse and Optimal Waste Policy,” Environment and Development Economics, 18(5): 595-61, 2013. (Hide-Fumi Yokoo and Thomas C. Kinnaman)

【論壇賞】

  • 水口剛(高崎経済大学)
    『責任ある投資ー資金の流れで未来を変える』岩波書店,2013年.

【ベストポスター賞】

  • 豊田知世(島根県立大学)
    「森林資源を活用するローカルエネルギー供給に関する一考察:島根県を事例にして」

2013年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 該当者なし

【奨励賞】

  • 西谷公孝(神戸大学)
    “An empirical analysis of the effects on firms' economic performance of implementing environmental management systems” Environmental and Resource Economics, 48:569-586, 2011.
  • 林公則(都留文科大学)
    『軍事環境問題の政治経済学』日本経済評論社,2011年.
  • 佐藤真行(神戸大学)
    “A Numerical Study on Assessing Sustainable Development with Future Genuine Savings Simulation” International Journal of Sustainable Development, 15(4): 293- 312, 2012.

2012年度

【特別賞】

  • 宮本憲一(大阪市立大学)

【学術賞】

  • 馬奈木俊介(東北大学)
    Technology, Natural Resources and Economic Growth: Improving the Environment for a Greener Future, Edward Elgar, 2011.
  • 笹尾俊明(岩手大学)
    『廃棄物処理の経済分析』勁草書房,2011年.

【奨励賞】

  • 有村俊秀(早稲田大学)・岩田和之(高崎経済大学)
    『環境規制の政策評価-環境経済学の定量的アプローチ』上智大学出版,2011年.
  • 宮永健太郎(滋賀県琵琶湖環境科学研究センター)
    『環境ガバナンスとNPO-持続可能な地域社会へのパートナーシップ』昭和堂,2011年.
  • 大島堅一(立命館大学)
    『再生可能エネルギーの政治経済学』東洋経済新報社,2010年.

2011年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 該当者なし

【奨励賞】

  • 碓井健寛(創価大学)
    “Estimating the effect of unit-based pricing in the presence of sample selection bias under Japanese recycling law” Ecological Economics, 66(2), pp.282 - 288, 2008.
  • 竹下貴之(立命館大学)
    “A strategy for introducing modern bioenergy into developing Asia to avoid dangerous climate change” Applied Energy, 86, pp.S222 - S232, 2009.

2010年度

【特別賞】

  • 該当者なし

【学術賞】

  • 前田章(京都大学)
    『排出権制度の経済理論』岩波書店,2009年.

【奨励賞】

  • 森晶寿(京都大学)
    『環境援助論:持続可能な発展実現の論理・戦略・評価』有斐閣,2009年.
  • 武田史郎(関東学園大学)
    "The double dividend from carbon regulations in Japan" Journal of the Japanese and International Economies, 21, pp.336-364, 2007.

2009年度

【特別賞】

  • 佐和隆光(立命館大学)

【学術賞】

  • 細田衛士(慶應義塾大学)
    『資源循環型社会-制度設計と政策展望』慶応義塾大学出版会,2008年.

【奨励賞】

  • 金子林太郎(敬愛大学)
    『産業廃棄物税の制度設計』東京白桃書房,2009年.
  • 諏訪竜夫(北海道大学)
    “Estimation of the Spatial Substitution Effect of National Park Trip Demand: an Application of the Kuhn-Tucker Model” Environmental Economics and Policy Studies, Vol.9 No.4, pp.239-257, 2008.
  • 馬奈木俊介(横浜国立大学)
    “Are there increasing returns to pollution abatement? Empirical analytics of the Environmental Kuznets Curve in pesticides” Ecological Economics, 58 (3), pp. 617-636, June, 2006.
  • 除本理史(東京経済大学)
    『環境被害の責任と費用負担』有斐閣,2007年.